部位 · 横隔膜、1頭に1本
サガリ(ハンガーステーキ)
サガリ(ハンガーステーキ)はハンギングテンダー、つまりプレートとフランクの間で背骨から下がる、横隔膜の厚い柱の部分です。1頭に1本、約0.5–0.7 kgで、中央の筋によって厚さ3–5 cmの二つの塊に分かれています。表面にしっかり焼き色をつけ、中は均一なレアに仕上げられる厚みです。フランスのオングレ、日本のサガリにあたります。
早わかり
- 部位
- プレートとフランクの間、腰椎から下がる
- 筋肉
- 横隔膜の脚(柱)。中央の筋でつながる
- 重さ
- 約0.5–0.7 kg、1頭に1本
- 調理法
- 強火で手早く、レア〜ミディアムレア
膜ではなく、柱の部分
サガリは、ハラミ(スカートステーキ)になる横隔膜の薄い膜の部分ではなく、横隔膜を腰椎につなぎとめる筋肉の柱、横隔膜脚(crura)です。二本の柱はV字に合わさり、中央を走る太く食べられない筋で結ばれています。その筋を取り除くと、サガリはそれぞれ厚さ3–5 cmの細長い二つの塊になり、2枚のステーキとして焼かれます。
肉目はハラミと同じく粗くゆるいものの、筋肉に厚みがあるため、表面にしっかり焼き色をつけながら中心を均一なレアに焼き上げられます。多くのステーキより色が濃く、風味はミネラル感がある、あるいはややレバーのようだと表現されることが多く、これは呼吸のたびに動く筋肉であることと、腎臓に近い位置にあることの両方を反映しています。
英語ではbutcher's steak(肉屋のステーキ)とも呼ばれます。この名前はふつう、肉屋が売らずに自分たちのために取っておいたという言い伝えで説明されます。枝肉1頭に1本しかないので、店頭に並べるほどの量がなかったのです。
牛体での位置
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05 トップサイド(内もも)
06 ブリスケット(肩バラ)
07 フランクとプレート(ともバラ)
VacíoFlank steakハラミ(スカートステーキ)Entrañaサガリ(ハンガーステーキ) · この部位Short plateMatambre
08 シルバーサイドとナックル(外もも・しんたま)
09 すね
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1頭に1本、多くはレストラン向け
ハンギングテンダーは枝肉の内側、横隔膜の奥にあり、プレートとフランクが接するあたり、最後の肋骨と腎臓の近くで背骨から下がっています。1頭に約0.5–0.7 kgのものが1本しかないため、スーパーで見かけることは少なく、ふつうはレストランに売られます。
米国ではIMPSの140番、hanging tenderです。フランスの精肉ではオングレは昔からビストロの定番で、フライパンで焼き、バターと赤ワインでやわらかく炒めたエシャロットで仕上げるオングレ・ア・レシャロットとして出されます。日本ではサガリはハラミと並んで焼肉の卓で焼かれ、韓国ではトシサル(토시살)が焼肉店で珍重される希少部位のひとつです。ラ・プラタ川流域では同じ部位が名前のあるステーキとして扱われることはなく、アウトサイドスカートであるエントラーニャとも別物です。
ハンガー、オングレ、thick skirt:呼び名
サガリはハラミより呼び名が少ないものの、そのうち二つは混乱のもとです。オーストラリアではスカートではないのにthick skirtと呼ばれ、スペインでは「厚いエントラーニャ」を意味するentraña gruesaと呼ばれますが、単にentrañaといえばハラミのことです。横隔膜の部位すべてをまとめた表はハラミ(スカートステーキ)にあります。
| 名前 | 地域 | 備考 |
|---|---|---|
| Hanger steak · hanging tender | 米国(IMPS 140) | butcher's steakの名でも売られる |
| Thick skirt | オーストラリア、NZ | 名前に反してスカートではない |
| Onglet | フランス、英国 | フランス語でハラミはhampe |
| Solomillo de pulmón · entraña gruesa | スペイン | entrañaだけならハラミ |
| Lombatello | イタリア | — |
| サガリ sagari | 日本 | 北海道では横隔膜全体を指すことが多い |
| 토시살 tosisal | 韓国 | 焼肉店で珍重される希少部位 |
| 封門柳 · 肝連 | 香港 · 台湾 | 広東語 · 台湾語の呼び名 |
| 固有の名前なし | アルゼンチン、ウルグアイ | アウトサイドスカートであるエントラーニャとは別物 |
焼き方:強火で手早く、52–54 °Cまで
ハラミやフランクと同じく、強火で手早く焼きます。塊ごとにごく熱いグリルかフライパンにのせ、何度か返しながら、表面に焼き色がつき中心が約52–54 °C / 126–129 °Fになるまで焼きます。レア〜ミディアムレア(中心が温かい赤からピンク色の焼き加減)です。5分ほど休ませます(レスティング)。ミディアムを超えると、ゆるい繊維が締まり、強い風味が金属的な味に変わります。
肉目が開いているので、マリネやドライラブ(すり込みスパイス)に向いた部位で、30分から数時間で十分です。繊維を断つように切りますが、サガリの繊維は塊に沿って斜めに走っているので、何切れか試しに切ると向きがわかります。
精肉店によっては、ロースト用に筋付きのまま丸ごと売ることもあります。筋は加熱してもやわらかくならないので、食卓で切り取ります。ビストロ式では、バターで焼き付けたあとフライパンにワインとエシャロットを加えて鍋底のうまみを溶かし、切った肉をソースに戻します。
濃い赤色で厚みが均一、冷凍も多い
hanger steakかhanging tender、フランスの肉屋ならonglet(オングレ)と指定して注文します。筋を取り除いて二つの塊に分けた、掃除済みの状態で売られていることがよくあります。丸ごとの場合は外側の膜と脂がいくらか付いていて、肉屋か料理人がそれを取り除きます。
よいサガリは濃い赤から紫がかった色で、締まっていて厚みが均一、強いにおいがありません。腎臓のようなにおいがするものは、たいてい保存期間が長すぎます。1頭に1本しかないため、事前の注文が必要なことが多く、冷凍の真空パックで売られることもよくあります。
食べられる店
Steakpediaの独自セレクションでは、3都市の4軒のステーキハウスがこの部位を看板部位に挙げています。店名をタップすると、その都市のページで確認できます。
世界各地での名称
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同じ筋肉でも、言語や取引規格によって呼び名が変わります。
| English | Hanger steak |
| Español | Solomillo de pulmón · entraña gruesa |
| Français | Onglet |
| 中文 | 封門柳 · 肝連 |
| 日本語 | サガリ |
| 한국어 | 토시살 |
| Italiano | Lombatello |
取引規格と各国の規格
| 規格 | 名称 | 参照コード |
|---|---|---|
| 米国 | Hanger steak · hanging tender · butcher's steak | IMPS 140 |
| オーストラリア / NZ | Thick skirt · hanging tender · hanger steak(thin skirtやinside skirtではない) | HAM |
| フランス | Onglet | Larousse |
| 英国 | Onglet · hanger steak | |
| スペイン | Solomillo de pulmón · entraña gruesa · pito | |
| イタリア | Lombatello | |
| 日本 | サガリ(北海道ではサガリが横隔膜全体を指すこともある) | JMGA |
| 韓国 | 토시살 (tosisal) | KAPE |
| 香港 · 台湾 | 封門柳 (Hong Kong) · 肝連 (Taiwan) | |
| メキシコ | Arrachera gallo | USMEF 2013 |
よくある質問
サガリ(ハンガーステーキ)とはどの部位?
ハンギングテンダー、つまり背骨から下がる横隔膜の厚い柱の部分です。1頭に1本、約0.5–0.7 kgで、中央の筋によって二つの塊に分かれ、それぞれステーキとして焼かれます。
サガリとハラミの違いは?
どちらも横隔膜から取れますが、ハラミは薄く幅広い膜状の筋肉で、サガリはそれを支える厚い柱です。サガリのほうが厚く、中央に筋があり、風味は強くミネラル感があります。
ハンガーステーキが「butcher's steak」と呼ばれるのはなぜ?
枝肉1頭に1本しかなく、言い伝えによれば肉屋が売らずに自分たちのために取っておいたからです。
オングレとハンガーステーキは同じ?
同じです。オングレ(onglet)はハンギングテンダーのフランス語名です。フランス語でハラミ(スカート)はアンプ(hampe)といいます。
オーストラリアではハンガーステーキを何と呼ぶ?
thick skirtまたはhanging tenderです。名前に反してスカートではありません。オーストラリアのthin skirtはアウトサイドスカートで、別の筋肉です。
スーパーではハンガーステーキを何という名前で売っている?
hanger steak、hanging tender、butcher's steakなどで、英国ではongletです。1頭に1本しかないため扱っていないスーパーも多く、精肉店に注文する必要があることがよくあります。
ハンガーステーキが高いのはなぜ?
1頭に1本、筋を取る前で約0.5–0.7 kgしかなく、供給の多くをレストランが買うためです。肉屋が自分たちのために取っておいた頃は安かったものの、ビストロやステーキハウスがメニューに載せるにつれて値段が上がりました。
ハンガーステーキはフィレミニヨンに似ている?
レア〜ミディアムレアに焼いて繊維を断つように切れば、やわらかさでは近づくこともありますが、別物のステーキです。肉目がゆるく、色が濃く、風味ははるかに強く、ヒレ(テンダーロイン)よりハラミに近い部位です。
ハンガーステーキはステーキ向きの部位?
筋を取り除き、焼きすぎなければ向いています。風味の強いステーキのひとつで、ステーキとして出せるほどやわらかく、ふつうは高級なロース系のステーキより安めです。
スペインではオングレを何と呼ぶ?
ふつうはsolomillo de pulmónまたはentraña gruesaで、pitoと呼ぶ精肉店もあります。entrañaだけならハラミのことで、サガリではありません。
出典
4
- USDA Agricultural Marketing Service. Institutional Meat Purchase Specifications: Fresh Beef Series 100. Washington, DC, 2014. www.ams.usda.gov/sites/default/files/media/IMPS_100_Fresh_Beef%5B1%5D.pdf
- Larousse Gastronomique, rev. ed. London: Hamlyn, 2009.
- McGee, Harold. On Food and Cooking: The Science and Lore of the Kitchen, rev. ed. New York: Scribner, 2004.
- Korea Institute for Animal Products Quality Evaluation (KAPE). Beef cuts and grading. www.ekape.or.kr
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