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ひとつの筋肉に、十の名前

牛肉のひとつの部位に十の名前があり、ひとつの名前が三つの部位を指すこともあります。ニューヨークとロンドンでサーロインを頼めば違うステーキが届き、ブエノスアイレスとマドリードでロモを頼めば別の筋肉が出てきます。ここでは、私たちが最もよく出会う混乱と、それを解決するただひとつの方法を紹介します。

別名: Names are a mess · Los nombres son un lío · Tên gọi là một mớ rối · 部位名の混乱 · 부위 이름의 혼란執筆 Steakpedia Editors最終確認日 2026年10月20日5 出典

牛肉の部位図:番号つきの大分割に分けた3Dの牛と、米国、英国、アルゼンチン、フランス、日本での12部位の名称。
牛肉の部位図:ひとつの部位、5つの名前

早わかり

同じ名前、違う部位
サーロイン(米国と英国)、ロモ
同じ部位、多くの名前
ピッカーニャ、ランプキャップ、クーロット、タパ・デ・クアドリル
確実な解決策
取引コード(IMPS、AUS-MEAT)

土地ごとの包丁、土地ごとの名前

牛肉の分割の伝統は、それぞれの土地で育ってきました。国ごとに、多くの場合は地方ごとに、枝肉を違う線で分け、部位をその土地の言葉で名づけてきたのです。取引が国際化すると、名前は海を渡りましたが、切り分ける線はそうはいきませんでした。翻訳がこれをさらにややこしくします。辞書は一語に一語を当てますが、両側の精肉職人は境界を別の場所に引いているからです。

4か国の仕入れ先を抱え、2か国語で働くチームがいる厨房では、これは机上の問題ではありません。正しい箱が届くかどうかを左右します。

サーロイン

米国でサーロイン(sirloin)といえば、ショートロインの後ろ、腰に向かう部分で、トップサーロインとボトムサーロインに分かれます。英国のサーロインは背中に沿った骨なしのロインで、米国でストリップロインと呼ぶ部位です。米国のトップサーロインに相当する英国の部位はランプ(rump)です。そのため、ロンドンで出した「サーロイン」の注文を米国の価格表で用意すると、違う筋肉が届きます。逆の場合も同じです。

ロモ

アルゼンチンとウルグアイでは、ロモ(lomo)はヒレです。スペインではlomoは背中に沿ったロインを指し、ヒレはsolomillo(ソロミージョ)と呼ばれます。チリではlomo vetadoがリブロース、lomo lisoがサーロインで、ヒレはfileteです。メキシコではヒレはふつうfileteで、ステーキとして売られるロインは英語のままNew Yorkやribeyeと表示されることがよくあります。ひとつの言葉に、少なくとも三つの部位があるのです。

マタンブレはフランクではない

アルゼンチンのマタンブレ(matambre)は、皮と肋骨の間にある薄く幅の広い筋肉、皮筋です。巻いて詰め物をしたり、平らなまま焼いたりします。海外の翻訳やメニューではよく「フランクステーキ」と呼ばれますが、そうではありません。フランクに相当するアルゼンチンの部位は、ロインの下の腹側からとるバシオ(vacío、カイノミ)で、米国のフランクステーキ(ササミ)はその中の一つの筋肉です。マタンブレをフランクと解釈する仕入れ先に頼むと、厚く、きめの粗い、まったく別の肉が届きます。

イチボ、五つの呼び名

逆の問題も同じくらいよくあります。ランプの上にのった、脂の層つきの三角形の部位は、ブラジルではピッカーニャ、アルゼンチンではタパ・デ・クアドリル、フランスと米国の取引の多くではクーロット、オーストラリアと英国ではランプキャップ、米国の規格ではトップサーロインキャップと呼ばれます。横隔膜の筋肉は、アルゼンチンではエントラーニャ、英語ではスカート(インサイドまたはアウトサイド)、メキシコではアラチェラ、フランスでは横隔膜のどの部分かによってオングレまたはアンプになります。

ベトナム語がさらにもう一層を加えます。Thăn nội(タン・ノイ)はヒレ、thăn ngoại(タン・ンゴアイ)はサーロインですが、輸入部位の多くは英語名で売られているため、ベトナムの厨房では同じ日に「リブアイ」「ストリップロイン」「タン・ンゴアイ」と、重なり合うものを指す言葉が飛び交います。

名前ではなく、番号

名前が統一されることはないでしょう。役に立つのはコードです。米国の業務用食肉購買規格(IMPS)は部位ごとに番号を振っており(骨なしストリップロインは180番)、AUS-MEATのHandbook of Australian Meatは各部位に製品コードと、どこで切るかの正確な説明を与えています。発注書で名前の横にコードを書けば、あいまいさの大半はなくなります。コードは単なる言葉ではなく、切り分ける線を表しているからです。

だからこの事典の部位ページでは、言語と国ごとの名前を取引コードと並べて載せていますし、ツールに部位名の変換機能があるのもそのためです。二つの名前が食い違ったら、決めるのはコードです。

よくある質問

サーロインは米国と英国で同じですか?

違います。英国のサーロインは米国でストリップロインと呼ぶ骨なしのロインです。米国のサーロインはもっと後ろで、英国でランプと呼ぶ部位にほぼ相当します。

マタンブレはフランクステーキと同じですか?

違います。マタンブレは皮と肋骨の間にある薄い筋肉です。フランクに相当するアルゼンチンの部位はバシオです。

ピッカーニャ(イチボ)は他の国では何と呼ばれますか?

アルゼンチンではタパ・デ・クアドリル、フランスと米国の一部ではクーロット、オーストラリアと英国ではランプキャップ、米国の規格ではトップサーロインキャップです。

出典

5
  1. USDA Agricultural Marketing Service. Institutional Meat Purchase Specifications: Fresh Beef Series 100. Washington, DC, 2014. www.ams.usda.gov/sites/default/files/media/IMPS_100_Fresh_Beef%5B1%5D.pdf
  2. AUS-MEAT Limited. Handbook of Australian Meat, 7th ed. (International Red Meat Manual). Brisbane, 2005. www.ausmeat.com.au
  3. Agriculture and Horticulture Development Board (UK). Beef Meat Purchasing Guide. Kenilworth, 2016. ahdb.org.uk
  4. Instituto de Promoción de la Carne Vacuna Argentina (IPCVA). Cortes de carne vacuna argentina — nomenclatura y usos. Buenos Aires. www.ipcva.com.ar
  5. Brasil, Ministério da Agricultura, SIPA. Portaria nº 5, de 8 de novembro de 1988 — Padronização de cortes de carne bovina.